B-CAS

FreeCASはなぜ違法?B-CASに群がる巨大利権との関連とは?

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先日、FreeCASを配布していた少年の逮捕について、以下のまとめ記事を書きました。

» 天才少年ではなかった!B-CASエミュ「FreeCAS」事件を1からまとめてみた。

まとめると、

  • FreeCASはSoftCASを焼き直したもので「天才少年が独自に開発した新たな手口」ではない。
  • 警察は、少年が「独自開発」したことにして、B-CASカードをハックした犯人を捕まえていないことを隠したいのではないか?

という内容でした。

今回は、「FreeCASがどう違法なのか」について調べた上で、「B-CAS利権」との関係についてまとめました。

以下、目次です。

FreeCASは技術的制限手段回避装置?
FreeCASを公開した目的は?
著作権法にも違反か
電磁的記録不正作出及び供用罪(刑法第161条の2)に問えるか?
無料チャンネルの視聴にB-CASカードが必要な理由は「利権」
SoftCASによる無料チャンネルの視聴は「無視」されそう

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不正競争防止法とB-CAS

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不正競争防止法のB-CAS関連部分は以下の通りです。

第二条  この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
十一  営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能を有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)

第二十一条  次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは二千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2  次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
四  不正の利益を得る目的で、又は営業上技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的で、第二条第一項第十一号又は第十二号に掲げる不正競争を行った者

以下の行為は、この法律に違反すると考えられます。

  • 利益を得るため、あるいはB-CAS社や放送事業者に損害を与えるために、有料放送の不正無料視聴を可能にするようB-CASカードを書き換えるプログラムを配布すること。
  • 利益を得るため、あるいはB-CAS社や放送事業者に損害を与えるために、有料放送の不正無料視聴を可能にしたB-CASカードを譲渡すること。
  • 利益を得るため、あるいはB-CAS社や放送事業者に損害を与えるために、B-CASカードを使わず有料放送の不正無料視聴を可能にするプログラム(SoftCASやFreeCASなど)を配布すること。

以下の行為も、この法律に違反する可能性があります。しかしながら、そもそも無料放送にB-CASという技術的制限をかけることが、国民の権利を侵しているという指摘もあります。実際、アメリカやスウェーデンでは同様の仕組みが裁判所の判決により無効とされています。

  • 利益を得るため、あるいはB-CAS社や放送事業者に損害を与えるために、B-CASカードを使わず無料放送のみを視聴可能にするプログラム(有料放送を見るための暗号鍵を含まないSoftCAS)を配布すること。

 

著作権法とB-CAS

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著作権法のB-CAS関連部分は以下の通りです。

第一章 総則
第一節 通則
(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
二十  技術的保護手段 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法(次号において「電磁的方法」という。)により、第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権又は第八十九条第一項に規定する実演家人格権若しくは同条第六項に規定する著作隣接権(以下この号、第三十条第一項第二号及び第百二十条の二第一号において「著作権等」という。)を侵害する行為の防止又は抑止(著作権等を侵害する行為の結果に著しい障害を生じさせることによる当該行為の抑止をいう。第三十条第一項第二号において同じ。)をする手段(著作権等を有する者の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物、実演、レコード、放送又は有線放送(次号において「著作物等」という。)の利用(著作者又は実演家の同意を得ないで行つたとしたならば著作者人格権又は実演家人格権の侵害となるべき行為を含む。)に際し、これに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は当該機器が特定の変換を必要とするよう著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。

第二章 著作者の権利
第三節 権利の内容
第五款 著作権の制限
(私的使用のための複製)
第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
二  技術的保護手段の回避(第二条第一項第二十号に規定する信号の除去若しくは改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うこと又は同号に規定する特定の変換を必要とするよう変換された著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像の復元(著作権等を有する者の意思に基づいて行われるものを除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合

第八章 罰則
第百二十条の二  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  技術的保護手段の回避を行うことをその機能とする装置(当該装置の部品一式であつて容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは技術的保護手段の回避を行うことをその機能とするプログラムの複製物を公衆に譲渡し、若しくは貸与し、公衆への譲渡若しくは貸与の目的をもつて製造し、輸入し、若しくは所持し、若しくは公衆の使用に供し、又は当該プログラムを公衆送信し、若しくは送信可能化する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあつては、著作権等を侵害する行為を技術的保護手段の回避により可能とする用途に供するために行うものに限る。)をした者
二  業として公衆からの求めに応じて技術的保護手段の回避を行つた者

2012年10月1日より、B-CAS方式などの暗号型技術も著作権の技術的保護手段の対象となりました。そのため、以下の行為は著作権法違反となり、刑事罰の対象となります。

  • 有料放送の不正無料視聴を可能にするようB-CASカードを書き換えるプログラムを配布すること。
  • 有料放送の不正無料視聴を可能にしたB-CASカードを譲渡すること。
  • B-CASカードを使わず有料放送の不正無料視聴を可能にするプログラム(SoftCASやFreeCASなど)を配布すること。

以下の行為は著作権法違反ですが、刑事罰は定められていません(ただし、刑法では刑事罰の対象です)。また、民事上違法ですので、損害賠償請求訴訟の対象になり得ます。

  • 有料放送の不正無料視聴を可能にしたB-CASカードを用いて、不正に有料放送を視聴・録画すること。
  • B-CASカードを使わず、不正に有料放送を視聴・録画すること。

以下の行為も、この法律に違反する可能性があります。しかしながら、そもそも無料放送にB-CASという技術的制限をかけることが、国民の権利を侵しているという指摘もあります。実際、アメリカやスウェーデンでは同様の仕組みが裁判所の判決により無効とされています。

  • B-CASカードを使わず無料放送のみを視聴可能にするプログラム(有料放送を見るための暗号鍵を含まないSoftCAS)を配布すること。
  • B-CASカードを使わず無料放送のみを視聴可能にするプログラム(有料放送を見るための暗号鍵を含まないSoftCAS)で無料放送を視聴すること。

刑法とB-CAS

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刑法のB-CAS関連部分は以下の通りです。

(電磁的記録不正作出及び供用)
第百六十一条の二  人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
3  不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
4  前項の罪の未遂は、罰する。

以下の行為は、この法律に違反すると考えられます。

  • 有料放送の不正無料視聴ができるように、B-CASカードを書き換えるプログラムを作成すること。
  • 有料放送の不正無料視聴ができるように、B-CASカードを書き換えること。
  • 不正に書き換えられたB-CASカードで、有料放送を不正に視聴・録画すること。
  • 有料放送の不正無料視聴ができるように、B-CASカード無しで有料放送を視聴・録画できるようプログラムや秘密鍵(Kw)を設定すること。
  • B-CASカードなしで有料放送を視聴・録画できるプログラムや秘密鍵を用いて、有料放送を不正に視聴・録画すること。

 

以下の行為が、この法律に違反するかどうかは判断が分かれると思われます。

  • B-CASカード無しで無料放送を視聴・録画できるようプログラムや秘密鍵(Kw)を設定すること。
  • B-CASカードなしで無料放送を視聴・録画できるプログラムや秘密鍵を用いて、無料放送を視聴・録画すること。

これは、条文中の「人の事務処理」について、有料放送を不正に視聴した場合は「視聴料の徴収事務を誤らせた」と言えるものの、無料放送にはそもそも「視聴料の徴収事務」が存在しないためです。また、有料放送の場合は暗号鍵(ワーク鍵)が「権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録」に当たると考えられるものの、公共性の高いテレビ放送を視聴するために必須となっている無料放送の暗号鍵が、「権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録」に当たるかどうかについては判断が分かれると考えられる、という理由もあります。

天才少年ではなかった!B-CASエミュ「FreeCAS」事件を1からまとめてみた。

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6月8日、「B-CASカード不要で有料放送を視聴できるプログラム”FreeCAS”を独自に開発、公開していた17歳の少年が逮捕」というニュースが流れて話題になりました。

少年の容疑は、「不正競争防止法違反(技術的制限手段回避装置の提供)」です。

調べてみたところ、彼は「うんコム」と名乗って2ちゃんねるに書き込み、自宅サーバーでFreeCASを配布していたようです。

この件について、ネット上の情報をもとに、背景や状況をまとめました。

以下、目次です。

「天才少年」の独自開発ではない!
B-CAS「不正」書き換えとSoftCASそしてFreeCAS
SoftCASとFreeCASの違いは?
なぜ少年だけが逮捕されたのか?
「少年が独自開発した」と報道されている理由は?
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